時は十五年前。

死の境を彷徨ったある男は、我が子と引き換えに、異形から命を買う。
異形から受け取った『全てを見通せる眼球』が契約の証。
それを返し、契約を破棄しなければならない。
さもなければ、十五歳になると同時に、皮を剥がれて殺される。
眼球の在り処を言わないまま、父親は死に。
主人公の周りには無数の異形が群れ集う。
親しく笑いかける異形の女。彼を同胞と呼ぶ烏。紅い着物の少女。
狐面を被った禍々しき者。異形になれと誘う異形。
そして、ざわざわと騒ぎ続ける蟲共。
果たして、眼球を探し当てることは出来るのか。
そして、運命から逃げる事は出来るのか。
終に、十五の日が訪れようとしていた。

貴方様は、皮を剥がれて殺されるためだけに、生まれてきた子供なのです。