目覚めると、見知らぬ部屋にいた。
自分は誰か、ここが何処かも分からない。
目覚める前の記憶は無く、触覚さえ消失していた。

「当然じゃない。あなたは彼女のぬいぐるみなのだもの」
「当然じゃない。あなたは彼女のテディベアなのだもの」

突然声を掛けて来た二人は、トウィードルダムと、トウィードルディーと名乗った。
自分達は、アリスのための双子であり。
ここは不思議の国なのだと。

「行かなくてもいいの? テディベア」
「行くべきではないの? テディベア」

その言葉から、突然使命を思い出した。
自分は、アリスに会わなければならない。

焦りに突き動かされ、テディベアは不思議の国をさ迷い始める。
アリスに出会い、忘れてしまった「約束」を果たすために。